接着剤にまつわるエトセトラ
石油化学の発達が産んだものは、そりゃもういろいろ有るけど
なかでも接着剤はすごい進化を遂げたよな。
そもそも昔は糊なんていったら、でんぷん糊だったわけだし。
でんぷん糊ってのはご飯つぶが引っ付く理由と同じ理由で
ひっついてるわけだ。…あ、ご飯つぶついてら。
ご飯つぶのつく理由は何かって言うと、水素結合。
水素結合自体は弱い結合だが、大量の結合があるのなら話は別だ。
大量の 水素結合で サポートできるから 紙にはやっぱり 水素結合
自由律詩みたいだな。
それ以外の結合ってのは共有結合、イオン結合、金属結合などがある
わけだが、無極性溶媒(シンナーとか)を使ってプラスチックなんかを
溶かして再び結合させなおすという方法も接着剤に使える。
半田付けや溶接なんてのは金属結合で接着させてるわけだ。
それ以外の場合、摩擦力や分子間力で結合させていることもある。
さて、塗料ってのはきょうび大体溶媒に溶かされた樹脂に色素が
含まれてるものだが、それって接着剤に近い性質を持つ、っていうか
はっきり言って接着剤。
ペンキ塗り立てってベンチがあったとしよう。
そこに座ってボーっとしている。数時間ぐらい。
豪快に引っ付く。そりゃもう無いって位引っ付く。
ドイツの伝統的なビールの検定法ってのも、ビールをたらした
ベンチに座って引っ付けてベンチが持ち上がるかどうからしいが。
基本的な接着剤の原理ってのはこんなところだけど、実のところ
よく分かってないことも多いらしい。
どういうときにひっつくのか、ひっつかないのか。
そこで接着剤屋さんは、毎日いろんなものをいろんなものにくっつけて
生活している。仕事だって。遊んでるんじゃないって。
でもちょっと楽しそうだな。
人体用の接着剤ってものもあるということだ。
えらい時代になってしまったなあ。
普通に怪我したときには使ったりはしないみたいだけど、手術用に使ったりする。
マジックインキなんかも溶剤だから、プラスチックあたりに乾かないように
塗れば接着剤として使えたりする。アルコール系は無理だけど。
そもそも接着剤自体がはがれたら接着剤として使えない。
だから塗料は接着剤としての性質を持つわけだ。
しかし、薬品にしても接着剤にしてもまだわかってないことが多いんだよなあ。
薬剤に関してはゲノム創薬なんて言葉がいわれるようになったんだけどさ、
接着剤に関しては創接着剤なんていわないし。
確かにものすごくくっつく接着剤があったとして、しかし
グラムあたり1万円とかいわれてもあんまり嬉しくないもんな。
代用なんていくらでも効くし。
接着剤を作ってる業者の人も大変だよ。
同じケミカルでも薬品系の連中はなあ、すごいことになってるのによ。
他のはこちら